12星座と二十四節気

太陽乙女座入りと「処暑」占星術と二十四節気の交差点

mugimaru

2025年は8月23日に二十四節気の「処暑」を迎えます。

二十四節気は太陽の黄道上の動きを24分割した、季節の移り変わりを表す東洋の暦に由来しています。

「処暑」は太陽が黄経150度、すなわち乙女座の0度に達すした瞬間からの15日間を指しています。

処暑とは「暑気到るを処す」すなわち「暑さが落ち着く」の意味をもち、夏の暑さのピークが過ぎ去り、朝や晩の風の涼しさや虫の音、夕焼けの美しさが感じられる頃です。

それでは、二十四節気の「処暑」を迎える今、二十四節気の乙女座について考えてみましょう。

乙女座:夏の終わりと柔軟宮の役割

乙女座は夏の終わりを担うサインで、柔軟宮(ミュータブルサイン)に属します。

物事の移り変わりの最終フェーズを示し、変化・調整力・適応力を持つのが柔軟宮です。

柔軟宮は季節の移り変わりの節目を象徴し、射手座は秋から冬へ、魚座は冬から春へ、双子座は春から夏への移行期にあたり、

そして夏から秋への橋渡しを担うのが、この記事の乙女座です。

季節の終わりを担う柔軟宮シーズンは、気候や自然界は段階的に調整するかのように、グラデーションで次の季節へと移行していくのです。

ですのでネイタルチャートの柔軟宮に天体を多く持つ人は、周りの空気感に合わせて自らを調整しながら臨機応変な対応が得意である、と読むことが可能です。

乙女座シーズン周辺の、活動・不動・柔軟および二十四節気の対応は、以下の流れです。

不動宮(固定・フィクスド)
大暑:獅子座0度

立秋:獅子座15度

柔軟宮(ミュータブル)
処暑:乙女座0度

白露:乙女座15度

活動宮(カーディナル)
秋分:天秤座0度

寒露:天秤座15度

暑気到るを処す、暑さが落ち着く「処暑」が含まれる乙女座では、暑さが落ち着いてきて秋の気配が加速していきます。

季節はグラデーションで移行していくので、朝夕の涼しさが徐々に日中にも広がっていくイメージです。境目がないのです。

この”境目の無さ”が柔軟宮の臨機応変さに共通しているように思えます。

実生活では、お盆休みが終わって生活習慣を整えたり、子供なら夏休みの宿題を終わらせるなど、通常の社会生活に戻り始める時期に当たります。

乙女座シーズンは夏の終わりの疲れた身体と精神をケアし、生活習慣を整え、次のサイクルへの準備を促す段階と言えるでしょう。

12星座前半の総括・乾いた土壁の乙女

柔軟宮は境目がなく臨機応変と前述していますが、乙女座は他の柔軟宮(双子・射手・魚)より固さというか、動かなさがあるように思えます。地のエレメントに属するからです。

エレメントの4区分、地の3星座のなかで最も動き活発なのは、水星を支配星に持つ乙女座ですが、

クオリティの三区分、柔軟宮のなかで最も動きが少ないのは、地星座である乙女座です。

火も風も水も流動性がありますが、そもそも地自体は単体では動かないからです。

そして、乙女座は黄道12星座の6番目の星座です。

12星座の6番目ということは、前半最後の締めくくりで総括のため、夏の3か月だけでなく春分からの半年間の成果の振り返りや分析をするフェーズと言えます。

そのため柔軟サインでありながら乙女座には12星座の後半との境界としての役割があり、あたかも土壁の番人ようにドライで現実的です。夢見る乙女ではないのです。

山羊座が土製の箱で社会・ルール・秩序・枠組みを表すならば、その中での実行部隊は乙女座です。土壁の箱の中を管理し守っているのです。

山羊座土星の表すドライで乾いた土壁のような組織や秩序のなかで、システマティックに実務を行えるのが乙女座の水星であり、

情にのまれず冷静に現状を細かく分析したり、ルールや規則にそってドライで緻密な実務を淡々と粛々とこなすことができます。

事務職や銀行員や税理士など、頭脳労働系デスクワークが乙女座っぽい職業といわれるのは、このためなのですね。

乙女座の水星は陰の水星

水星は、双子座と乙女座、ふたつの星座を支配しています。

乙女座の水星は内側の細分化を得意とする「陰の水星」です。

対して、双子座は外側へアプローチしていく「陽の水星」となります。

「陰の水星」「陽の水星」という呼称は西洋占星術の正式な用語ではありません。筆者のわかりやすさからそう表現しています。分かりにくい人は、乙女座は女性星座・双子座は男性星座と置き換えて読み進めてください。

どちらの水星も

  • 小さくて数があること
  • 多様性やバリエーションが豊富
  • よく動く、動き回る
  • 機転が利く

という部分は共通なのですが、エネルギーの方向性が対照的と言えます。

風エレメントで「陽の水星」の双子座は、外側の何がしかへの移動・流通(意思の流通も)・情報へエネルギーが向くのに対し、

地エレメントで「陰の水星」の乙女座は、何がしかの内側の分析や細分化など、論理的思考の動きや、縁の下の力持ちてきな実務能力として発揮されます。

水星の能力が内側へ働く乙女座は、分析的・実務的な知性を司っているのですね。

アバージョンとクインカンクス:錬金術アスペクト

ホロスコープは春分点(牡羊座0度)を基点としますが、乙女座は牡羊座から150度にあたります。

古典占星術ではサイン間で30度と150度の角度をアバージョンと呼び、この角度にある同士は互いを見ることができず、アスペクトを取れません。無視されているようなものです。

そのためオポジションやスクエアであっても、アスペクトが無い(アバージョン)よりあったほうが良しとされています。

現代の占星術では、150度はクインカンクスというマイナーアスペクトに分類され「共通点のない2つを無理にくっつける」努力を必要とする難しいアスペクトとされます。

  • 牡羊座…火・活動宮
  • 乙女座…土・柔軟宮

共通点が無く互いに理解しにくく、遠慮がちというか潜在的な緊張が起きやすく、そのため努力が必要なのですが、

その努力は自己犠牲に発展しかねないもので、自我を殺しての他者への奉仕と評価を通して葛藤を昇華しようとする面が出やすいかもしれません。

現代の心理占星術では、努力と調整を要する葛藤のアスペクトと言われ、個人の行動パターンを見直すキッカケとされています。

筆者むぎまるのネイタル太陽は150度のアスペクトを持っていますが、それを使わざる得ないときは自己矛盾を抱えての行動になるので、まぁ正直しんどいんですよね(-_-;)

ですが、努力と苦労の果てに上手くいったとき、それはそれは普段通りでは成しえなかった素晴らしい結果として現れ、僥倖の思いです。

話が逸れてしまいましたが「陰の水星」の乙女座は、

  • 細部に気付ける分析力を持ち
  • 縁の下の力持ちてきな働き者で
  • 他者のサポートに優れていますが、

それが過度に行き過ぎると、自己犠牲や完ぺき主義に陥りやすく、分析力は批判癖に転じ、自分自身を苦しめかねません。

そして乙女座は無意識に奉仕役に回りやすく、牡羊座は無意識にリーダー役を好むため、両者は「主人と使用人」の関係に例えられるのです。

ですが乙女と牡羊に関しては、牡羊座の衝動を乙女座が冷静に的確に導いていくほうが、上手く回りそうですけどね。

共通点がなく相手が見えない(アバージョン)から直感的な判断はしにくく、細かい分析や柔軟で臨機応変な対応を要する間柄です。

共通点のない異質な要素を調整することで能力が磨かれたり、あたらしいものを生み出したり…苦労は伴うけれどもクインカンクスは錬金術てきなアスペクトかもしれませんね。

乙女座では木星がデトリメント(障害)する

古典占星術では木星は射手座と魚座の支配星にあたります。

そのため真逆の位置である対向サインの双子座と乙女座では、木星のちからをポジティブに発揮するのが難しいのです。

双子座も乙女座も、水星が支配するサインです。

要するに、惑星としては木星と水星は相性がイマイチ…ということ。

ゆったりと大きく包み込むような魚座木星は、乙女座の細かく分析的な思考や管理的な環境に馴染みにくく、

木星本来の、ゆったり広がる様子・包み込むような愛・幸運・楽観性が、乙女座の秩序にこだわり細分化や分析を好む性質によって制限され、豊かさの広がりを小さくしてしまいます。

そのため木星にとって乙女座はデトリメント(障害)とされたのだと思います。

「木を見て森を見ず」という言葉がありますが、

  • 乙女座…細分化(木)
  • 魚座…全体性(森)

数多ある木々の細部が気になってしまい、視野を広げて森全体を見ることができない状態になりやすいのが、乙女座の木星です。

視野狭窄になりやすく、分かりやすいかたちの幸運では無いかもしれませんが、それでも乙女座木星の強みは「細部への注意力と実用性を信じて積み上げる力」だと思います。

森を見れずとも数多の木の1本1本を深く観察し分析し理解し、丁寧にコツコツと信頼を積み上げていくことが、いつか大きな豊かさと祝福につながると信じ抜き実践できるのだと思います。

金星が乙女座でフォールするのは、魚座でイグザルテーションするから

金星は魚座にあるときイグザルテーション(高揚)となりますが、乙女座にフォール(減衰)の品位になります。

冷たく湿っているコールド&モイストな金星は、同じくコールド&モイストな魚座と調和するので居心地がよく、良さを発揮しやすいのですが、

乙女座はコールド&ドライな場所なので、金星の愛情や美に潤いが足りなくなる…と言いますが、コンサバティブな傾向がでてしまいます。

現実派でコンサバティブな乙女座金星は、ロマンティックな愛ではなく、現実的で奉仕的な愛情表現として現れやすいです。

美に関しては細部までこだわり、重箱の隅をつつくような批評が出がちかもしれませんが、裏を返せば職人やアーティストとしては、完璧な作品を作り上げる可能性があります。

ですが金星は楽しみを享受したい遊びの星です。

乙女座のシビアで実用性に即したドライな環境では、金星てきな潤いや楽しみを享受しにくいため、金星はのびのび振舞えず居心地がよくないのです。

(;^ω^)ダラダラ遊んでないで
    ちゃんとしなくては…

みたいなイメージでしょうか笑

処暑(乙女座0度)周辺時期の伝承や習わし

自然界は朝夕の涼しさや虫の声に加え、処暑には萩や秋の七草(ハギ・キキョウ・オミナエシなど)の花が咲き始め、秋の気配が強まってきます。

太陽が黄道150度、乙女座入りした処暑の頃は、収穫、豊穣への感謝や祈り、そして実りの季節の準備をテーマとした習わしが多く、いくつかピックアップします。

吉田の火祭り・すすき祭り:日本

富士山の麓、山梨県富士吉田市の「吉田の火祭り」(8月26~27日)は、夏山シーズンの終わりを告げるお祭りです。

富士山北口浅間神社と諏訪神社で、高さ3mの大松明およそ100本に点火し炎に包まれます。

450年以上の歴史があり、日本三大奇祭、日本10大火祭りに数えられています。

ヴォルカナリア祭:古代ローマ

8月下旬のローマは一年で最も暑く乾燥し、火災のリスクが高まる時期でした。

毎年8月23日に祝われていたヴォルカナリア祭は、鍛冶や火山を司る火の神ウルカヌスを祀り、鎮めるために行われていた祭礼です。

現代では行われていませんが、燃える火の中に魚や小動物を生きたまま投げ入れ、人間や家畜の身代わりとする儀式は、神の怒りを鎮めるための生命の交換でした。

オピコンシウァ祭:古代ローマ

豊穣・農業・富を司る女神オプスを讃える古代ローマの祭礼で、毎年8月25日に祝われていました。

小麦の収穫を終え、穀物の管理や保管のための仕分け作業の時期にあたり、オプスはラテン語で「豊かさ・収穫・仕事」を意味する言葉に由来しています。

ヴェスタの巫女と呼ばれる聖職者たちが儀式に関わり、女神オプスに穀物を捧げ、大地の恵みに感謝しました。

豊穣の女神デメテル:ギリシャ神話

乙女座の支配星は水星ですが、ギリシャ神話のデメテルが地上の豊かさを司る女神であることと関連付けられています。

収穫や穀物の実りを象徴し、乙女座のシンボルは手に麦の穂を持つ乙女の姿で描かれています。

処暑(太陽乙女座入り)の過ごし方

太陽が乙女座に入る二十四節気「処暑」のころは、夏から秋へ移り変わる大切な節目です。

乙女座は、調整・手入れや管理・日常的な仕事なども表すサインです。

12星座の前半最後の締めくくりのため、成果の振り返りや次のサイクルへ向けての調整、日常生活を見直すのに適したタイミングかもしれません。

具体例としては、

  • 規則正しい生活リズム
  • 心身の手入れやケアで
  • 腸活を意識
  • 細部に注意が必要な仕事に着手
  • 「やるべきこと」をやる
  • 春夏の振り返りと秋以降の計画を練る

乙女座は体の部位では消化器系、特に腸に対応しています。

冷たいものやエアコンによる冷えで弱ってしまった胃腸を、乙女座らしい規則正しい生活でで整えるのがおすすめです。

また、日常的なルーチンワークや義務的で面倒な仕事があれば、感情で止まってしまわず、さっさと着手してしまうようにしましょう。

秋の気配が濃くなってくるので、夜には虫の声に耳を傾けたり、秋の星座を眺めて心を鎮めるのもおすすめです。

晩夏の雰囲気を楽しみつつ、心身のケアや秋の準備をすすめ、変わりゆく季節に柔軟に対応していきましょう。

まとめ

二十四節気「処暑」はまさに「暑気到るを処す」を意味し、西洋占星術では太陽が乙女座0度~乙女座15度(黄経150度~165度)にに相当します。

夏の終わりを司る柔軟宮であり、エレメントは土であり、支配星が水星であることから、現実的な細かい実務に長け、

縁の下の力持ちとしての「整理・分析・実務」の性質が強調されるサインです。

また、

牡羊座から始まった12星座の前半6星座のラストを治めるのが乙女座であり、上半期の分析や整理整頓など、

秋分からの後半を控えるこの時期は、健康管理や生活習慣の整備に努めつつ、自然の移ろいを感じ取り、来るべき秋に備えておきたいところです。

夏の猛暑を乗り切った身体と心を労りつつ、乙女座の実直さと柔軟性を活かして新たな季節への一歩を踏み出しましょう。

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