陰の木星が支配する魚座と春の兆し│二十四節気「雨水」
二十四節気は太陽の黄道上の位置を基に1年を24等分し、季節の移り変わりを示した古代中国の暦法に由来しています。
その中で”雨水”は太陽が黄道330度、つまり魚座0度に達した瞬間からの15日間です。
2026年の今年は2月19日に太陽が魚座入りし、その日から「雨水」となります。
この時期は冬の寒さが緩み、雪解け水が田畑や野を潤すため、自然界では春に向けての準備段階とされています。
冬の厳しさが緩んでグラデーションで春へ移行していく兆しは、占星術的には魚座の性質と関連を見出すことが出来そうです。
魚座は冬の終わりを象徴する柔軟宮(ミュータブルサイン)であると同時に、黄道12宮の最終段階を飾るサインであり、終わりと新たなサイクル始まりを暗示します。
柔軟宮(ミュータブルサイン)である魚座は水サインとしての変化や移ろいのサインで、冷たく凍った感情を溶かす溶解作用は、雨水の気候変化とも重なりそうです。
雨水も魚座も共にサイクルの変わり目を象徴する、重要な地点として位置づけられます。
では今回、二十四節気の「雨水」を迎えるにあたり、西洋占星術の「魚座」について考えてみたく思います。
魚座:冬の終わりと柔軟宮の役割
魚座は冬の終わりを担う柔軟宮(ミュータブルサイン)に位置します。
柔軟宮は季節の移り変わりのサインで、変化・調整力・適応力を持つとされます。
双子座は春から夏へ、
乙女座は夏から秋へ、
射手座は秋から冬へ…
と、気候を調整しながらグラデーションで季節は移行します。
ですので、ネイタルチャートで柔軟宮に天体が多い人は、場の雰囲気に難なく順応できたり、臨機応変な対応が得意な性質をもつと、読むことができます。
魚座シーズン周辺の、活動・不動・柔軟および二十四節気は下記の流れです。
立春:水瓶座15度
啓蟄:魚座15度
清明:牡羊座15度
魚座のキーワードに含まれる感受性や想像力、そして流動性は、この季節的な移行と結びついているようです。
冬の寒さが緩み始めて雪が雨に変わる___春の息吹を感じるこの時期は、冷たく凍った感情を溶かし受け入れる包容力とともに、
溶解後の流動的なものから新しい可能性を生み出す、ビジョンを模索しイメージする性質をともリンクします。
黄道12サイン最終フェーズの魚座の次は、新しいサイクルの牡羊座(活動宮・春分点)を控えているため、
新しい始まりの準備段階としての、柔軟な発想からくるビジョンやイメージという意味も含まれていて、
魚座は金星がイグザルトなことも合わさって、音楽やダンスを含めた芸術的創造性にも繋がるのかと思います。
また、
魚座の水は「霧」と表わされますが、同時に「雪解け水」でもあると、魚座の良い面が強い人を見ていると感じますね。(すべての星座に良い面と悪い面があります)
柔軟宮としての魚座は、ひとつ前のサイン水瓶で固定されたものを解きほぐし、自然や人々の中に潤いと柔らかさを還し、許容性を生み出します。
このような性質は、山羊水瓶の古典支配星である土星(コールド&ドライ)の象徴する、冬の寒さや冷たさや乾燥が、和らいでいくことを表しているようで、
動植物が目覚め始める準備開始の節目である「雨水」の気候が、12星座の魚座の性質に投影されているとも考えられます。
魚座の古典支配星、木星からの考察
モダンな占星術では魚座のルーラーは海王星であり木星は副支配星ですが、古典占星術では支配星は1つのみ、魚座は木星のみが支配星です。
木星は射手座と魚座の両星座をルールしています。
木星は、寛容さや拡張を表す星でホット&モイストな天体です。運勢占いではその年の幸運のありかを示しています。
木星のキーワードは、
- 拡大発展・豊かさ・財産
- 寛容さ・穏やかさ・自由
- 知的精神性・高度な学問
- 真理・宗教・信仰心
- 温かく湿っている
といった、冷たく乾いた土星てきな試練とは真逆で温かみと広がりのあるものが多く、サイン魚に象徴される穏やかな精神性や、夢見がちな性質にも深く影響していそうです。
射手座の木星が「陽」のエネルギー、すなわち外向的で探究心旺盛な性質を持つのに対し、
魚座の木星は内向的で直感や想像力、見えない部分や無意識の世界に焦点を当てる「陰」の側面を反映しています。
射手座の木星を「陽の木星」とするなら、魚座の木星は「陰の木星」です。
魚座は冷たく湿ったコールド&モイストの水星座ですが、その支配星木星はホット&モイストな天体であり、温かい環境下で水は液体です。
春の兆しの「雨水」の頃、空に浮かぶ雲の氷の粒は、溶けて雨となり地上へ降り注ぎます。
木星は、成長や拡大を象徴する天体なので、雪が解けて土壌を潤し、春に向けて自然が準備を進めるという動きともつながりを感じます。
雨水は二十四節気の中で「氷が解け、雨となる」という意味を持つので、魚座の溶解性や湿潤性との絶妙な結びつきが面白いです。
占星術で表す三寒四温:冷たい魚座と温かい木星
魚座シーズンの前半15日間の「雨水」は、寒い日が三日続いたあと四日間暖かい日が続くといわれる「三寒四温の候」にあたります。
魚座は冬の最後の柔軟宮で、本質的には冷たく湿ったコールド&モイストなサインです。
春夏秋冬と四体液との対応でも、そもそも冬自体がコールド&モイスト(フレグマティック・粘液質)にあたります。
木星の示す温かさが氷や雪が溶かして水分が増えるものの、まだまだ寒さが残る魚座の時期を、
「湿った春の始まりが示される」とプトレマイオスも述べたようで、魚座は本格的な春の前兆として寒さに湿気が混じる状態と見なされていたそうです。
これに関してプトレマイオスは金星をコールド&モイストではなく温かく湿った天体と定義していたので、魚座イグザルテーションの金星のアプローチから考えてみても面白いかもしれません。
金星を冷たい星とするか?温かい星とするか?これは古い時代の占星術師によっても意見が分かれるテーマです。
一方、成長や広がり拡大発展の意味を持つ木星は、ほとんどの占星術師が温かく湿っている天体、サンギン(多血質)に分類しています。
木星的な温い風が寒気を緩め雨を伴って大地を潤し、植物の成長を支える準備となる____
寒い日(魚座=冷湿)には北風や霜が戻り、暖かい日(木星=温湿)には雨で雪解けが進み地上に湿が増える____
つまり、占星術てきに言うなら木星の温かいエネルギーと金星てきな柔らかく穏やかな湿り気が訪れる冬の終わりのことを、「三寒四温の候」と呼ぶのかもしれませんね。
二十四節気を占星術のフィルターを通してみると絶妙に結びつきが感じられるのは、占星術が自然の学問だったことの面白さだと思います。
雨水(魚座0度)周辺時期の伝承や習わし
太陽が黄経330度、魚座0度地点にある雨水の頃は、春への期待や自然への畏敬の念が込められた興味深い伝承や習わしが多いです。
農耕の準備の目安
雨水は農作業の準備が始まる時期とされています。雪解け水が田畑に注ぐ時期とされました。「土が潤い、種まきの準備を始める頃」として、昔から農村ではこの時期に農作業の計画が立てられていました。
農耕社会であった中国では、雨水は農作業の開始を告げる重要な節気であり、豊作と雨を祈「祈雨祭」なども行われてきました。
キリスト教の四旬節(Lent)
雨水の頃に重なるこの時期、キリスト教では復活祭(イースター)に向けた、食材に配慮した生活や節制、祝宴の自粛と祈りの期間が始まります。
Lentはイエス・キリストが荒野で40日間断食を行ったことに由来しています。
デメテルとペルセフォネの物語:ギリシャ神話
冥府の王ハデスがペルセポネを妻に迎え、母である豊穣の女神デメテルの悲しみの影響で上は暗く寒い日が続き、農作物が育たなくなります。
ペルセフォネは4か月間は冥府にいなくてはならず、その間は地上に冬が訪れることになったというエピソードです。
ペルセフォネが冥界から戻ってくると、大地は再び緑豊かになります。デメテルとペルセフォネの神話は、冬と春の交代を象徴しています。
デメテルとペルセフォネに関する祭事は「エレウシスの秘儀」や「テスモフォリア」などがあります。
魚座:ギリシャ神話
愛と美の女神アフロディーテと息子エロスのエピソードです。
二人は怪物テュフォンから逃れるため魚に変身し、川に飛び込んだ際、離れ離れにならないようにリボンで互いを結び付けました。
また、魚座のマークは原始キリスト教のシンボルでもあります。
雨水(太陽魚座入り)の開運行動
太陽が魚座エリアに到達した二十四節気の「雨水」は地上の見える景色が春へと変わる準備が進む、自然界の静かな転換点です。
実生活では新年度を目前に控え、卒業や入学、就職や転勤の準備など、社会活動の変化の準備で忙しなく、ストレスも増えやすい時期です。
そして「三寒四温の候」と言われる雨水の頃は、気温差や気圧の変化が多いために自律神経が乱れやすくメンタル不調になりやすいと言われるタイミング。
春の変化への準備や仕事が増えるこの時期を、元気に過ごし乗り切るために、いつも以上にココロとカラダの整えに気を配りたいですね。
この時期おすすめの開運行動は、こんなかんじです。
- デトックスを意識する
- ぬるめの半身浴をする
- カフェインやお酒を摂りすぎない
- 早寝早起きで体のリズムを整える
- 木星が象徴する「広がり」と「緩やかさ」を意識した、リラックスできる時間を持つ
- 冬に溜め込んだ体内の滞りを流すために、ウォーキングやヨガ、ストレッチなどの穏やかな運動を取り入れる
魚座の古典支配星である木星は、身体の部位では肝臓に対応しています。
都会では難しいでしょうが、道の端や公園などでタンポポの蕾を見かけるようになるのも、この頃くらいからですね。
木星のハーブであるタンポポが肝臓の生薬であることも、魚座や木星の象意から考えると占星術は本当に上手くできていると自然界を通して再確認できます。
ほっとひと息つきたいとき、コーヒーの代わりにたんぽぽ茶も取り入れてみるのも、良いかもしれませんね。
まとめ
二十四節気の「雨水」は黄道330度に太陽が到達した瞬間のことで、西洋占星術では魚座0度にあたります。
「雨水」は自然界と人間生活の新たなサイクルへの移行期間であり、占星術の魚座のテーマと深い相関性がみられます。
この時期を占星術てきに読み解くと…
- 魚座支配星、木星の温かさ
- 冬の柔軟宮としての魚座の性質
- 魚座は黄道12宮の最後
- ホットとコールドが混じること
これらのエネルギーが複雑に絡み合うこの時期の気候は「三寒四温」という言葉に象徴されます。
また、自然界では雪が溶け雨になり、田畑や野を潤し、農作業の準備や春の訪れを祝う祭事が世界で多くみられます。
社会活動では新たなスタートを目前に控えているため、エネルギッシュに新年度を迎えられるように、心身のバランスを調和させ整えておくのが良さそうです。
魚座が象徴する感受性を生かし、自然の移り変わりを楽しむ余裕を持つと、心身ともにリフレッシュできるかもしれません。
早咲きの花が始まる頃でもあるため、庭や公園で春の訪れを探してみるのはいかがでしょうか。








