闇の先へ___舞い上がる火の粉の射手座:前編│二十四節気「小雪」
二十四節気の「小雪(しょうせつ)」は、寒さが一段と進み、山間部では雪が降りだす頃であることを表している節季です。
2025年は11月22日に訪れます。
ひとつ前の「立冬」から冬が始まったとはいえ、まだ秋の残滓も残っており、舞う雪の量も地域も多くないことから、小さい雪「小雪」と呼ばれます。
初雪の知らせが報じられる時期ですね。
では、二十四節気「小雪」を迎える今、西洋占星術の射手座について記してみようと思います。
小雪(射手座0度)の占星術的解釈
二十四節気「小雪」の時期は、太陽が黄経240度に達してからの15日間です。
西洋占星術では射手座0度~15度まで、射手座の前半期間に相当します。
射手座は柔軟宮(ミュータブルサイン)に区分され、拡大性のある変化を踏まえた締めくくり、総括と引き継ぎの段階です。
蠍座15度「立冬」で始まった冬の気の流れを引き継ぎ拡大していくのが射手座シーズンで、この時期は秋から冬への移り変わりが大きくなる節目でもあります。
小雪(太陽射手座入り)周辺の、三区分と二十四節気は以下の流れです。
立冬:蠍座15度
大雪:射手座15度
小寒:山羊座15度
蠍座15度「立冬」は冬の気配が訪れる転換点で、柔軟宮の射手座では緩やかに冬の気が拡大していくのです。
射手座と魚座、ふたつの木星の違い
射手座の木星は外側へ働き掛けていく「陽の木星」です。
それに対して魚座の木星は「陰の木星」であり、外ではなく内側へ広がりを見せていく働きとなります。
現代モダン占星術で魚座の支配星は海王星であり、木星は副支配星に降格していますが、わたしは主支配星として木星を扱っています。
木星は太陽系最大の惑星で、拡大・繁栄・幸運・財運をもたらす吉星とされます。
共通しているのは、
- 拡大性や大きなもの(こと)
- 広がってゆける自由さ
- 誠実さや高尚高潔
- 輝くものや財産
なのですが、
射手座と魚座では木星のエネルギーの方向性は対照的になっています。
「陽の木星」である射手座は火のエレメントなので、火が外側に広がっていくように外側へ向く意識と共に表現され、外向的な朗らかさや発展性に繋がります。
「陰の木星」となる魚座は水エレメントのため、水が溶媒なるように何がしかを内側へ溶かし込む受容的な表現になるので、受容的優しさや感受性・想像力や芸術性へと繋がります。
のびのびと自由に広がっていく様が、外側なのか内側なのか。
同じ天体で現れる質が変わるところも、占星術を面白いと思える所のひとつです。
射手座の火は、舞い上がる火の粉
牡羊座の火がマッチで、獅子座が灯り続ける松明のイメージだとしたら、射手座の火は何に例えましょう。
射手座の火は、パチパチと燃え舞い上がる火の粉だと、私むぎまるは考えます。
パチパチ弾ける火の粉は、どこに飛んでいくか分からない自由な存在だからからです。
燃え尽きるまで高く遠くへ飛んでいきます。
火の粉や生み出す熱は広がってゆき、そのエネルギーは周囲や世界を温めていきます。
その火の粉が周りに燃え広がれば、さらに大きな熱を生み、周囲や世界への影響は大きくなります。
また、
射手座キーワードに「遠い旅」がありますが、それは蠍座キーワード「死」ののちに「魂が新しい旅へと立つ」と捉えることもできますし、
蠍座「何がしかの終焉した出来事」を鑑みて、あたらしいプロジェクトを開始するために、射手座「深く専門的に学ぶ」と捉えることもできそうです。
死(終わり)の先の、再生の希望。
蠍座の「死と変容」のエネルギーを継ぐ射手座は
- 闇を超えて光を見いだす
- 喪失が知恵に変わる
見据えた終わりの、その先の未来への希望の広がりが、射手座にあるように思います。
その広がっていく希望的思想は、周りを巻き込む熱となるのです。
そこには「なるようになる」の楽観性も孕んでいて、温かさと清々しさがあり、私むぎまるは射手座さんが大好きなんですよね。
射手座愛が大きすぎて、射手座の友人には呆れられてます。笑
射手座キーワードの「冒険」とは?
射手座キーワードに「冒険」という言葉があります。
しかし射手座が強いホロスコープの持ち主が必ず冒険家とは限りませんね。笑
射手座キーワード、
- 冒険
- 遠い旅・遠距離・海外
- 専門性のある学び
- 哲学
これらに共通していることは、いずれも一般的には ”日常では無い” ということですね。
つまり射手座の冒険とは、実際のアドベンチャーのみならず ”非日常” な物事そのものなのです。
- 双子座=日常の身の回り
- 射手座=非日常な世界
という対比もできます。
先に述べたと思いますが、陰極まる冬至が近くなる射手座シーズンは日照時間が短い暗闇の季節です。
暗闇の終わった先にある光めがけて、理想を掲げて高く飛び、広い視野で未来を拓こうとする探求心や情熱を持っています。
海外に関することや旅行だけでなく、専門的でアカデミックな学びも非日常な冒険に含まれるのです。
(理想とか未来とか書いていますが水瓶座のそれとは少し毛色が異なるのです。)
また、
占星術の熱冷乾湿で射手座はホット&ドライ(熱・乾)な性質のサインです。
熱は外側に作用し乾はバラバラにしますが、支配星木星がホット&モイスト(熱・湿)で湿り気があるため、適度な水分が繋がりを生み物事が拡大していきます。
多くの人々と協力して闇の先の光に向かってジャンプする____
そんな暖かく前向きな振る舞いも可能なのがサイン射手の世界観だと思います。
太陽射手座シーズン周辺の文化や伝承
冬の始まりを迎える北半球では冬至が近くなり、日照時間の短さが際立つ頃です。
主として穀物類の収穫が完全に終わり、冬本番に備えるこの闇の季節は、希望と光を求めるテーマが文化や伝承に強く現れます。
この時期の世界の文化と伝承をいくつかピックアップします。
新嘗祭(にいなめさい):日本
二十四節気「小雪」の頃、勤労感謝の日に行われる祭事です。
農作物の収穫が完全に終わった区切りとして、その年の新米を神様にお供えし、感謝を捧げ、安泰を祈る儀式です。
かつてこの日は新嘗祭という祭日でしたが、戦後GHQの指示により勤労感謝の日と変更されました。
新嘗祭は皇居での祭祀のみではなく、全国の多くの神社で執り行われています。
ハヌカ(Chanukah):ユダヤ教
紀元前2世紀、弾圧されていたユダヤの人々が、エルサレムの神殿を奪還し再奉献した際、1日分しかなかったはずの聖油が8日間燃え続けた奇跡を記念する「光のお祭り」です。
ユダヤ歴が太陰太陽暦のためグレゴリオ暦では年によってズレますが、おおよそ太陽射手座シーズンに重なることが多いです。
8枝+1枝の計9本の燭台に、毎日1本づつ火を灯していきます。
聖油の奇跡にちなんで油を多く使うが好まれ、たっぷりの油で焼くパンケーキやドーナツを食べるそうです。
感謝祭(Thanksgiving Day):アメリカ
サンクスビギニングディはアメリカやカナダの祝日です。
アメリカでは1863年に国民の祝日に制定され、毎年11月の第4木曜日(太陽射手座入り頃)に祝われます。
元は、17世紀にイギリスからアメリカへ入植した者たちが、最初の収穫を祝って先住民と共に神に感謝したことが、始まりとされています。
現代では、この日は家族や久しい友人で集まり、七面鳥の丸焼きやパンプキンパイなど季節のご馳走を囲むなどして過ごすそうです。
なお、サンクスビギニングディの翌日の金曜日が、ブラックフライデーです。
ブラックフライデーの”ブラック”の由来は、諸説あります。
待降節(たいこうせつ・Advent・アドベント):キリスト教
クリスマス4週間前の日曜日から始まり、クリスマスまで続きます。
キリスト教のアドベントとは、イエスキリストの降誕を喜びと希望を持って心待ちにし、敬虔に過ごすカウントダウン期間です。
アドベントカレンダーの起源は19世紀のドイツで、クリスマスまでの日数を忘れないようにするために、壁にしるしつけたり、ろうそくを灯したりしました、
毎日ひとつづつ箱を開けていくアドベントカレンダーや、週毎にキャンドルを灯すアドベントリース(アドベントクランツ)が、喜びや光が増していく様子を象徴します。
聖ニコラウスの日(St. Nicholas’ Day):キリスト教
12月6日は、キリスト教の聖人である聖ニコラウスを記念する祝日です。
聖ニコラウスは4世紀に実在した人物で、彼は貧しい人々や子どもに密かに贈り物をした逸話があり、サンタクロースのモデルと言われています。
主にドイツでは子どもたちは夜に靴下を窓辺や暖炉のそばに置いて眠り、朝になると聖ニコラウスからのお菓子が入っているのを見つける習慣があります。
クリスマスに贈り物をする文化の起源であり、クリスマスの前に訪れる小さなクリスマスのようです。
冬至祭・ユール(Yule)・クリスマスの準備:ケルト文化・キリスト教
冬至(ユール/Yule)を1年の始まりと考えるなら、射手座が最後の星座です。
キリスト教前の北欧ケルトの冬至祭(ユール)は、現代ではキリスト教のクリスマスになっています。
アドベントカレンダー含めクリスマスの支度を進める、忙しさと楽しさが混在するタイミングですね。
この時期は、冬至にヒイラギの王からオークの王(柊と樫)へ支配権が変わる直前の1か月間です。
そのため、常葉樹であるヒイラギを飾ったり、同じく常葉樹であるモミの木でクリスマスツリーを用意したりします。
暗闇の支配がピークに達していく厳しい寒さの時期、生き抜く知識や知恵を共有し、神の恵みに感謝して新しいサイクルを心待ちにしていく期間です。
まとめ
二十四節気「小雪」は西洋占星術で射手座0度(黄経240度)に対応し、秋から冬への変化が大きくなる重要な転換点です。
射手座は自由・冒険・学びを象徴するサインで、支配星の陽の木星は自身の外側の世界へ視野を広げることを促します。
クリスマスや冬至が近づき、年越しの準備もあり、師走といえば坊主も走るという言葉があるほど、忙しい時期です。
年末年始の遠出のプランを立てたり、大掃除を早めに始める人もいらっしゃいますよね。
日中は暖かくても朝晩は冬らしくなってきますので、健康管理を徹底しながら学びや季節のイベントを楽しみ、
寒さ厳しくも楽しく射手座の季節を過ごしていけると良いですね。





