秋分=太陽が沈む場所?豊かさが風に乗る天秤座

二十四節気の「秋分」は太陽の黄経が180度に達する瞬間に始まり、2025年は9月23日からの15日間にあたります。
秋分の日は春分と同様に昼と夜の長さがほぼ等しくなり、太陽は真東から昇って真西に沈みます。
北半球ではこの日を境に昼より夜が長くなり、太陽が出ている時間が短くなっていきます。
昼が長くなる冬至~夏至までが陽であり光であり太陽的な性質であり、
逆に、夜の時間が長くなる、夏至~当時までが陰であり闇であり月的な性質です。
秋分や春分は、陰と陽が半分づつになりバランスが取れるタイミングであることから「陰陽の中分」として古来重視されました。
秋の活動宮:天秤座は調和を外に流していく
二十四節気の「秋分」は西洋占星術では太陽が天秤座0度に入った瞬間にあたります。
獅子座15度の「立秋」から始まった秋の気配は、乙女座シーズンで秋が夏を押し出すようにグラデーションで変化し、ここ「秋分」で秋本番に至りました。
天秤の季節の始まりでもある「秋分」は、牡羊座からはじまったホロスコープの円を二分割した後半の始点です。
春夏の成果の総括と片付けの乙女座が終わり、いよいよ天秤座から後半のサイクルが始まります。
牡羊座~乙女座までは個人的な事柄にウェイトが置かれる段階であるのに対し、
天秤座~魚座までは対人関係や社会的な拡がりに意識が向くフェーズであるとされます。
秋分周辺の活動・不動・柔軟および二十四節気の流れは以下の通りです。
白露:乙女座15度
寒露:天秤座15度
立冬:蠍座15度
天秤座は活動宮(カーディナル)に属し、新しい物事を開始するちからを持つサインです。エレメントは風に属し、知性や情報や交流を象徴します。
ひとつ前の乙女座(柔軟宮・土)は、前半6星座の締めくくりの分析や、サマーバージョン(獅子座)から日常に戻る為の現実的な作業や片付けや整理整頓のサインでした。
そして天秤座は、新しいサイクルのエネルギーが動き出し、金星のテーマが外向きに働きかけていくサインです。
天秤座と牡牛座の支配星は金星ですが、牡牛座が陰の金星であるのに対し、天秤座の金星は陽の金星です。
天秤座。そこは太陽が沈む場所(フォール・減衰)
天秤座は正義と公正、均衡と調和の象徴のサインであり、秋分は昼と夜が同じになることから、その天秤が表しているのは光と闇が釣り合う場所であると、捉えられることもできます。
太陽が秋分点を過ぎると___
月が出ている時間が長く、
太陽が出ている時間が短くなります。
秋と冬は暗い季節です。
暗い季節に入っていく扉である天秤座は太陽がフォール(減衰)するサインです。
フォールは落ちるとか沈むとかの意味です。天秤座は太陽が沈む場所、とでも言いましょうか。
この先は太陽にとっては出番(日照時間)が少なくなり、本拠地の獅子座も通り過ぎてしまっていて、力を発揮することが難しくなるということは、
他者とのバランスや調和を重視する天秤のテーマにおいて、太陽や獅子座的な主張は控えめにしたほうが良い、ということを示唆しているかのようです。
天秤座「陽の金星」豊かさが風に乗る
天秤座の支配星は、楽しみごと・美・調和・受容的な愛を象徴する金星です。
金星自体はコールド&モイストで冷たく湿った「陰」の性質ですが、ここ天秤座では外向きに、陽的に働きます。
天秤座は風のエレメントなので、金星の調和は、
- 上下でなく横に広がる
- バランスや外向きの美意識
- 調和的交流
を色濃く反映して 「対人バランス感覚」「平和を求める」「美意識」「美を届ける(画廊やファッション関係)」というキーワードに繋がります。
そして金星は、甘いもの・良い香りのもの・おいしい物・果物なども表します。
実りの秋を象徴するおいしい食べ物たちは、地球から我々が受け取る愛と言ってよいと思います。
食欲の秋や芸術の秋という言葉はまさに、天秤座の季節そのままですね。
ひとつ前の乙女座で収穫した穀物は、天秤の秤に量られ、市場に流通していくのです。
天秤の示す公正さの元、ときに交渉や契約もありつつ、売り手と買い手の希望価格が調和している=需要と供給の天秤が釣り合っているから、市場は回っているのです。
これも天秤座の「陽の金星」です。
地上の豊かさが風に乗って流れていくのです。
天秤座で火星がデトリメント(障害)
秤座0度「秋分」は西洋占星術の1年間における後半サイクルの始点です。
この場所はトロピカル方式の黄経180度、すなわち数秘「9」で火星に対応します。火星は戦いの星や闘争心の星です。
支配星は平和的で調和的な金星、なのに火星の場所…この矛盾を含むのが、天秤座0度なのです。
何か特定の目標に向けてエネルギーを外向きに発揮する火星の牡羊座。その反対側のオポジションが天秤座なのです。
天秤座は火星のデトリメント(障害)のサインです。
- 金星(コールド&モイスト)
- 火星(ホット&ドライ)
穏やかで調和的でありたい金星と、エネルギッシュで強引な火星とは不調和で、サイン天秤では火星のエネルギーが上手く表現されません。
そのため、天秤座の金星の平和や調和を外側に広げていく働きは、時として、戦いを生じることもあります。
調和を重んじる天秤座ですが「平和を求める=平和な状態」とは限らず、皮肉なことにも「平和のために戦争をする」のも天秤座には含まれるのです。
また、
- 火星ドミサイルの春分(牡羊座0度)
- 火星デトリメントの秋分(天秤座0度)
牡羊ー天秤ラインは火星が強い軸と言えます。
前半6星座のスタートである牡羊座は、プライベートで個人的な目標や新生活を頑張るフレッシュなエネルギーであり、
後半6星座のスタートである天秤座は他者を含む社会との関わりのスタートのため、他者との金星てきな調和や協調性が求められ、自他のバランスを取りたいところです。
パブリックな場で火星的な自我や戦いのエネルギーが強すぎて、天秤が釣り合わなければ、不和や軋轢を生じてしまうわけです。
また、
古い時代は、金星が象徴するもの、例えば財宝や食料や女性などは、戦争によって奪われるものでした。金星は火星に狙われるのです。
現代では、事実婚を除き結婚は婚姻届けという契約があるように、強引に奪うのではなくて、スマートで知的な調和てき交流によるものです。
食料や宝飾品なども、天秤がつりあう価値の等価交換で、ときに交渉や契約をして手に入れます。脅したり強引に安く買いたたいたら、火星の暴走です。
自他の調和のために火星のエネルギーを抑え込む、これが天秤座てき世界観なのです。
秋分(太陽天秤座入り)周辺の伝統や習わし
昼と夜の長さが等しくなる秋分は、秋の実りを祝う文化や、冬の訪れを意識する風習が世界でみられます。
メイボン(Mabon):ケルト文化
ケルトの伝統的なサバトのひとつに、秋の収穫を祝うメイボンがあります。夏の収穫祭に次いで祝われる、秋の収穫祭です。
収穫した果物や野菜を祭壇に飾り、自然の恵みを神に感謝し、豊かさを分かち合います。
この日を境に保存食を作り始めるなど、冬支度を始める象徴的な日です。
エルル29・ロシュハシャナ・ヨムキプール:ユダヤ教
ユダヤ教では9月下旬~10月に新年を迎える祝祭があります。秋がお正月とは文化の違いが面白いです。
- エルル29(Elul29)
ユダヤ歴の大晦日(エルル月29日)です。特に7年サイクルで訪れる安息年のエルル29は「借金を帳消しにする日」と言われ株式市場の変動に影響をもつのかもしれないと都市伝説で言われています。 - ロシュハシャナ(Rosh Hashanah)
ユダヤ教における元旦で、神が世界を創造した日とされています。豊穣を表す林檎と蜂蜜を食し、甘い一年を願います。この日から10日間は「畏れの日々」と呼ばれ、自己の行いを反省し、神に赦しを乞う期間となります。 - ヨムキプール(Yom Kippur)
ロシュハシャナから10日後に行われる「贖罪の日」です。断食と祈りを通じて罪の赦しを求めます。ユダヤ教において最も神聖な日です。
ミカエル祭:キリスト教
9月29日はキリスト教で大天使ミカエルの祝日です。
ミカエルが悪魔を退治したとされる伝説にちなんで、勇気と正義を象徴する祭りとして祝われます。
ミカエル祭 (Michaelmas)は、秋分を過ぎて夜が長くなる頃に行われ、中世ヨーロッパでは収穫の終結を告げる意味も含めた行事でした。
秋分の日・秋の彼岸:日本
秋分の日を中日(ちゅうにち)として前後3日間、合計7日間が秋の彼岸にあたります。春の彼岸と同様にお墓参りなどをし、祖先を供養しする仏教行事です。
「彼岸」とは「悟りの境地」を意味し、煩悩だらけのこの世は「此岸」です。
昼と夜の長さが等しくなる=この世とあの世が最も通じやすい日と考えられてきました。
秋に食べるぼたもちは粒あんが使われ、萩の花にちなんで、おはぎと呼ばれます。
中秋の名月:日本
旧暦8月15日が中秋の名月にあたります。
そのためグレゴリオ暦だと年によって日にちが変わり、また、必ずしも満月になるとは限りません。
夏が終わって空気が乾燥して澄んでくるため、月の美しさが際立つ頃です。
太陽天秤座シーズンの開運行動
風の活動宮である天秤座シーズンは、金星てきな楽しい活動を始めてみるのに良いタイミングです。
暑さ寒さも彼岸までと言われるように、秋分からは過ごしやすい気候ですので、秋を探しにお出かけなどいかがでしょうか。
以下の開運行動が考えられます。
- 旬の食を楽しむ食欲の秋
- 文化や芸術に触れる芸術の秋
- 美しい場所や空間に出かける
- ひとりではなく誰かと楽しむ
- より良いパートナー関係への見直し
- 強引さは抑え、でも相手に合わせすぎない
- お墓参りや先祖供養
- 冬に向けての準備
火星がデトリメント(障害)となるため、強引さや強すぎる闘争心とは適度に距離を置く姿勢が吉と言えるでしょう。
金星がもたらす豊かさや楽しみをバランスよく大切にし、過ごしやすい季節を楽しみましょう。
まとめ
秋分は西洋占星術における1年間の後半の折り返し地点であり、カレンダーの年末までは残り3か月のラストスパートです。
遠い目標に向かって着実に前進する意識を持って、楽しむときと頑張るときのメリハリやバランスを大切にしましょう。
秋分を迎える天秤座は、太陽はデトリメント(障害)し火星はフォール(減衰)するため、自分の主張ばかりに偏らず他者との対等なバランスを意識していくサインです。
個人よりも対人関係や協調がテーマとなる季節ですので、知的でスマートな交流や、フェアで公正な関わりかたをすることで、調和的な関係を始められます。
金星と火星のバランス、つまり「調和と行動力のバランス」を意識することが、秋分からの3か月を豊かに過ごすポイントになるかもしれません。
それでは善い秋分をお迎えください♪