永遠の夏。火の不動宮獅子座:前編│二十四節気「大暑」

二十四節気の一つである「大暑(たいしょ)」は、夏の暑さの体感的な極みにあたる期間をです。
それは太陽が黄経が120度に達する日からとされ、2025年は7月22日から立秋前日までの15日間が、大暑期間に該当します。
文字の通り「暑さが大変厳しくなる頃」であり、一年で最も気温が高く、うだるような厳しい暑さシーズンの開幕となりますね。
梅雨も明けて晴れの日が続き、日中の気温もぐんぐん上がり、夕暮れ時には夕立など急な雨が降って気温が少し下がるなど、夏の訪れを強く体感できる時期です。
花火大会や夏祭やが大きい物から地区の催しまで大小様々に見受けられ、夏の暑さを乗り切る暑気払いの行事も盛んになります。
また、大暑の時期とほぼ重なって始まるのが「夏の土用」です。
夏土用は立秋の前日までの18日間、季節の切り替わりを前に心身が揺らぎやすく、養生のタイミングとされます。
では二十四節気の「大暑」を前に、西洋占星術の獅子座について考えてみましょう。
二十四節気「大暑」と西洋占星術の「獅子座」
二十四節気の「大暑」は、西洋占星術の獅子座0~15度(黄経120~135度)に太陽が位置する期間です。
ひとつ前、活動宮の蟹座は、外向きに極まった陽のエネルギーが今度は内側の熟成へと転換し、内向きに活動的に動き出す時でした。
そして今回の獅子座の前半では、蟹座0度(夏至)から始まった夏本番のエネルギーの安定と持続のフェーズとなります。
獅子座は火の不動宮(固定宮)であり、蟹・獅子・乙女の「夏の三星座の中心」であるため「最も夏である」と言い表すことができます。
不動宮は「エネルギーの持続・固定」を示す時期であり、活動宮が始めた物事をそのまま続けて安定化させるサインです。
つまり夏の活動宮の蟹座0度で本番に至った夏のエネルギーを、獅子座は熱を維持し安定化させるため、地上の暑さを最も体感できるのが獅子座シーズンです。北半球ではですが。
このように、大暑は太陽が夏の真ん中(獅子座)に入ることで、エネルギーのピークとして安定した熱が地上に行き渡る、まさに「真夏」だと言えます。
大暑周辺の、活動・不動・柔軟および二十四節気の流れは以下の通りです。
小暑:蟹座15度
立秋:獅子座15度
白露:乙女座15度
獅子座0度と数秘3(木星)。熱の維持と拡大
獅子座の支配星は太陽です。
太陽が獅子座に入座するトロピカル方式の黄経120度は、数秘術では「3」の数に対応し「3」は木星のエネルギーに関連しています。
木星は、成長・拡大発展・恵みや豊かさを司る天体であり「3」の地点である獅子座0度は、ひとつ前の蟹座で始まった夏のエネルギーを、拡大発展させていきます。
- 太陽(ホット&ドライ)
- 獅子座(ホット&ドライ)
- 3=木星(ホット&モイスト)
ホットが3つも…
そりゃ暑いわけで。
否。暑いからホットが3つ、
割り当てられたのでしょう。
つまり、大暑の前半にあたる獅子座0度付近では、この熱が永遠に続くのではないかと思わせるような、うだるような暑さが安定していること、
ドミサイルな太陽の力が強く保たれる獅子座シーズンは、終わらない夏を想起させるような力強さで、熱で温められているのです。
この ”熱の維持と拡大” を個人へ反映させると、旺盛で創造的な熱量や目的意識を持ち、創造性や可能性を広げ、自己重要感や自信に裏付けされた楽観と豊かさを呼び込むとも読めます。
獅子座の支配星が太陽である理由
月が蟹座の支配星なのは、時間の経過で形を変える月こそが、陽から陰へと転換する夏至に相応しいとされたのではないかと思います。
では、太陽が獅子座なのは何故だろうかと。
太陽は日の出と日没で死と再生を象徴すると同時に、翌朝また生まれるサイクルを繰り返すことから、古来より永遠性の象徴とされてきた存在です。
古代エジプト神話においても、太陽神ラーは生と死を繰り返しながら永遠の時を旅すると語られており、太陽の運行は魂の永遠性を象徴するものとされていました。
また、太陽のキーワードには、
- 生命力・創造力・自我
- 目的意識・自信・意思・誇り
- 自己重要感・王・権威
などがあります。
また、月が守り育てる惑星であるのに対し、太陽は生命力を与える存在であり、恒常的に光り輝く自信に満ちた絶対的存在として崇められ、
また、太陽系の惑星たちを統べる重力という影響力をもっている太陽こそが王であり、火の不動宮に相応しいと考えられるのだと思います。
獅子座が王の星座と言われるのは、普遍の太陽として、常に自信に満ちた輝きを備えていてこそなのです。
太陽が永遠の象徴であるように、不動の太陽、火の不動宮の獅子座こそ太陽が相応しいのだと思います。
冷たい土星は熱い獅子座に馴染めない│デトリメント(障害)
獅子座では土星がデトリメント(障害)になります。
土星は山羊座と水瓶座の支配星であり、オポジション関係にあたるのが対向サインの蟹座と獅子座です。
天王星発見後のモダンな占星術では、水瓶座は天王星が支配するとされましたが、昔の占星術は山羊と水瓶の2星座のルーラーが土星でした。
したがって獅子座に土星が入るとデトリメント(障害)となり、土星の質が発揮されにくくなります。
熱冷乾湿で見ると、
- 獅子座(ホット&ドライ)
- 土星(コールド&ドライ)
獅子座はホット&ドライな「熱く乾いた」火のサインである一方、土星はコールド&ドライという「冷たく乾いた」性質を持つ惑星とされます。
燃えるような真夏の環境に冷たく乾いた土星を置くと、冷たいがデフォルトの土星は火に炙られてしまって居心地が悪く、
制限や忍耐を象徴する土星の性質は、獅子座の持つ自由奔放な火のエネルギーとは相反し、なんらかの矛盾が生じてしまうんですね。
そのため土星は獅子座に馴染めないため、この場での土星らしい働きは善い結果には繋がりにくいです。
表れ方としては、獅子座の創造性や自己表現に制限がかかったり、権威的な人物事とアイデンティティとの摩擦として現れるかもしれません。
大暑(太陽獅子座入り)頃の開運行動
太陽が獅子座0度に到達する二十四節気「大暑」は、一年で最も暑さが過酷なタイミングとなります。
二十四節気は15日間、土用は18日間で少しずれますが、おおよそ「夏の土用」と重なるため、心身を労わり暑気払いなどして養生するのがおすすめです。
- 涼感を楽しむ
冷たい和菓子や氷菓、旬の夏野菜や果物、風鈴の音などで涼しさを体感しましょう。 - 花火や夏祭り
夏祭りや盆踊り花火大会など夏らしいイベントが多い時期です。暑さ対策をして無理のない範囲で楽しみましょう。 - 土いじりは控える
土用期間ですので土仕事は控えましょう。熱中症も心配です。 - 室内でゆったり
冷房の効いた室内でのんびり過ごしましょう。映像作品を見たり自分のペースでできる趣味や創作をしてみるのもおすすめです。 - 運動は朝夕の涼しい時間に
長時間冷房にあたっていると身体の巡りが滞ります。早朝や夕方の涼しい時間に近所を散歩したりストレッチをしたりして整えましょう。
まとめ
二十四節気「大暑」は、文字通り夏の暑さが最高潮に達する時期であり、西洋占星術では太陽が獅子座0度に到達する節目です。
太陽が獅子座に入ったこの時期は、夏の熱エネルギーを安定させるので「終わらない真夏」というような雰囲気を地上に表現します。
永遠性の象徴である太陽は、蟹・獅子・乙女の夏の3星座の真ん中であるにふさわしい王たる支配星であり、その力強い輝きを存分に発揮する期間です。
しかし近年は温暖化だか太陽の力が強すぎるのか何なのか・・・暑さに負けない工夫は勿論のこと、土用期間でもあるので心身を整えて無理せず穏やかに過ごしたいところです。
夏の喜びを楽しみつつも体調管理に気をつけ、季節の恵みを活かした過ごし方を心掛けたいなと思います。