二十四節気「小満」夏へ移ろう双子座を考える

二十四節気の「小満(しょうまん)」は、太陽が黄道60度すなわち双子座0度に達する瞬間からの15日間にあたります。
今年2025年は5月21日からが「小満」の節季が始まります。
小満は、暦の上で、春の成長期がひと段落し、草木がぐんぐん茂り始め、日は高く昇り、天地に命や光が満ちていく様子を表した季節名です。
”草木が茂って天地に満ち始める頃”ともされますが、二十四節気が発祥した古代中国と今の日本の気候とでは、多少のズレがあります。
日本では沖縄は梅雨入りの頃であり、関東地方では梅雨入り前シーズンですね。
小満のころの日本の天候は晴れたり曇ったりと、不安定な日が増え「走り梅雨」という言葉を、天気予報などで見聞きするようになります。
では二十四節気の「小満」と「双子座」について考察してみましょう。
小満(双子座0度)の占星術的解釈
二十四節気の「小満」の時期は、西洋占星術では双子座0度~15度までに相当します。
双子座は西洋占星術で柔軟宮(ミュータブルサイン)に区分され、物事の移り変わりの調整をしていく段階です。
調整が出来るということは、人間で考えるならば常に周りの状況を察知する能力が備わっている人、ということとなります。
そのためネイタルチャートで双子サインに天体を多く持つ人は、周りの状況を機敏に察知し、臨機応変に対応できる能力が高いと読むことができるのです。
小満(太陽双子座入り)周辺の三区分と二十四節気は、下記の流れです。
立夏:牡牛座15度
芒種:双子座15度
小暑:蟹座15度
水瓶座15度(立春)から芽生えだした春は、牡羊座0度(春分)で冬と完全に分かれ、人も自然界も春らしい活動が増える時期となりました。
続く牡牛座シーズンは春のエネルギーの安定化とピークを迎え、そして今この双子座では春から夏への変化が足早に加速していきます。
このように、牡牛座15度(立夏)から始まった春から夏へのグラデーションは、蟹座0度(夏至)まで続いていくのですね。
双子座と乙女座、ふたつの水星の違い
双子座の水星は外側へ働きかけていく「陽の水星」です。
それに対して乙女座の水星は「陰の水星」であり、外ではなく内側へ細分化していく働きとなります。
共通しているのは、
- 小さくたくさんあること
- バリエーション豊かなこと
- こまめに動くこと
- 性質が変化すること
なのですが、
この二つの星座の水星のエネルギーは、方向性が対照的となっています。
風のエレメントの双子座の水星は「陽の水星」のため、外側にエネルギーが向くため、
外側の何がしかに向けて、移動・流通(意思の流通も)・情報収集および直感的判断力などを、発揮するのが得意です。
対する地のエレメントの乙女座の水星は「陰の水星」であり、内側にエネルギーが向きます。
ですので乙女座の水星は、秩序立てられた思考や判断を重んじたり、何がしかの対象の分析など、内側を細分化する能力に秀でています。
また、
水星は中性であり、太陽との位置関係によって性別格が変わることから「性質を変化させる」惑星とされます。
男性でも女性でもないと言うとマイノリティな話題になってしまいそうですが、そうではなくて、駆け引きが巧みな星であり、本質的にはどちら側にも味方しないという事です。
性別が変わるというのは大元の性質が変わるということなので、月の表す変化とは別物です。
西洋占星術での季節の終わりのサイン、季節の移行期に、柔軟宮に水星の品位が配置されていることは、
水星の「性質を変化させる能力」に理由があるのかなと思うと、占星術の面白さが広がるなぁと思うのです。
双子座の性質を考える
占星術の熱冷乾湿で双子座はホット&モイスト(熱・湿)な性質のサインです。
熱は外側に作用し、湿の水分は繋がりを生み広がっていきます。
支配星の水星は、位置関係つまり置かれた場所によって性質が変わると上述しましたように、
臨機応変さ・適応や対応するチカラ・人とのコミュニケーションに関連し、それらが双子座らしさに含まれます。
この臨機応変さ、ヒラメキにも似た現場判断能力によって自らを変化させてしまう賢さが、
双子座水星の知性であり柔軟サインである所以なのだろうと、占星術の構造に感動してしまいます。
対人コミュニケーションはその場での判断がものを言いますが、双子乙女射手魚座の柔軟4星座のなかで、最も臨機応変力があるのはやはり風星座である双子座ではないでしょうか。
その場の空気感や会話の風向き変わっても、即座に対応できる小回りの利く思考力や、積極的に外へ働きかける水星の働きは、
表層的なこまごまとした動きや活動が得意であり、好奇心旺盛でフットワークが軽いです。
大胆さや深みや奥行き感よりも、広がること。直感的なヒラメキも含んでいるようなスピード感のある知性が双子座の水星です。
その頭の回転の速さと、人が何を考えているのかを直感力で読み通すチカラがある事から、コミュニケーション・商業・思考力というキーワードに繋がり、
ルーラーの水星が年3回も逆行し天空を動き回る様子からも、好奇心・旅人・メッセンジャーという象意に繋がるのだろうと思います。
双子座0度は数秘6で金星、多様性と調和
牡牛座15度(黄経45度・立夏・数秘9)で始まった夏の始まりは、
ここ双子座0度(黄経60度・小満・数秘6)では、まるで春と夏が調和しているかのような柔軟で微細な変化のエネルギーで、いつのまにか季節が進んでいきます。
自然界は、動植物の種類や成長段階ふくめ、生命の多様性が顕著になります。水星はバリエーションも表し、双子座ではそれが外に向くので多様性に繋がります。
花から花へあちこち動き回り花粉を運ぶ小さな昆虫たちも、水星のメッセンジャーのように感じますね。
双子座0度地点のが数秘6(金星)であることから、地上の豊かさがあちらこちらに多様に見られる様子を示唆しているようです。
社会面では、春から始まったプロジェクトや人との出会いを通して、学びや情報交換が活発になってくる頃でしょうし、
新年度に進学や就職で新しい出会いがあった場合、様子見期間(?)が終わると言いますか、多様な個性が見え始めるタイミングかもしれません。
気心が知れてきて仲良くなったり、水星のコミュニケーション能力に金星のエネルギーが帯びて、調和的な人間関係の構築がしやすい頃とも考えられます。こじつけですが(笑)
つまり、
太陽が双子座入りするころは、柔軟で知的な陽の水星のエネルギーと、調和をもたらす金星のエネルギーが織り重なる頃とも読めます。
小満(太陽双子座入り)周辺の文化や伝承
太陽が黄経60度、双子座0度入りした小満のころの文化伝承は、このようなものがあります。
三社祭:東京浅草
毎年5月の第三金土日曜の三日間に行われます。正式名称は浅草神社例大祭です。
昔はお寺と神社は一体として運営されていて元々は浅草寺のお祭りでしたが、明治時代の神仏分離令によって、浅草神社と分離したたため、浅草神社のお祭りとなりました。
衣替え:日本
昨今の気候変動のせいもあり、柔軟な対応の学校や会社も増えてきましたが、制服がある組織では6月は衣替えですね。
梅雨入り前の蒸し暑さから、梅雨明け後の本格的な夏への移行期である6月は、衣服の素材や種類を大きく変えるタイミングとなります。
カストルとポルックスの物語:ギリシャ神話
カストルとポルックスは神ゼウスの息子で双子の兄弟ですが、カストルは人間でポルックスは神の血を受け継ぎました。
兄カストルが命を落とすと、悲しんだポルックスは自分の不死身の運命を兄へ分け、二人は天に昇って星座となったという物語です。
神と人間の対比は二元性を象徴しています。
小満(太陽双子座入り)の開運行動
太陽が双子座に移動した小満のころは、草木が生い茂り虫たちが飛び交い、自然界も人間関係も多様性を帯びてくる時期です。
1か所に深く根を張るというより、横に枝葉を広げ、出会いや交流を楽しみ、好奇心の芽を探し求めるような、
- 興味のあることに首をつっこむ
- 近場や日帰りの散策を楽しむ
- 軽めの勉強や知的活動
- ライトな会話やおしゃべり
- 言葉・書くことを丁寧に
このような事を楽しめると、小さな発見が将来の大きな喜びに繋がるかもしれません。
双子座の軽快さが「つながり」「好奇心」「学び」を後押ししてくれそうですが、
手を広げすぎてしまい、何が大切かわからない状態になり困ることも、起こりうるかもしれません。
そんな時は少し立ち止まって、タスクや重要度の確認を心がけるようにしたいですね。
まとめ
二十四節気の「小満」は、太陽が黄道60度に達し、占星術では双子座のシーズンの前半に入ったことを示します。
「小満」は自然界で生命の多様性が顕著になり、命が満ちていく様がみられます。
西洋占星術と併せて考えると、社会面では新年度からスタートした学びや情報交流が活発になり、
それらの出会いの中での多様多彩な個性が見えてきたり、調和的な人間関係が構築しやすくなるタイミングと言えます。
水星の影響力が強まるこの時期は、好奇心が未来の豊かさへの第一歩になりそうですが、
双子座の軽快さゆえに、興味があちこちに向かいすぎて、日常が雑多になりうるかもしれません。
そんな時は、一度少し立ち止まって、自分のタスクや興味の重要度を確認することを心がけると良さそうです。
小満の時期は双子座の持つ柔軟性・好奇心・コミュニケーションといったエネルギーを上手に取り入れて、
軽やかに、そして多様な繋がりや学びを楽しんでみてはいかがでしょうか。