暦と占星術

春分=宇宙元旦?占星術で紐解くゼロポイントの扉

mugimaru

2025年3月20日、二十四節気の「春分」を迎えます。春分は、秋分と同様に昼と夜の長さが等しくなる瞬間であり、西洋占星術では1年の始まりの基点となります。

日本では春分の日が祝日として定められており、春のお彼岸の中日です。

中日というのは彼岸の真ん中のことです。春分の日を真ん中に前後3日間、合計7日間が春のお彼岸となります。祖先を敬い、自然に感謝する期間です。

春分は、昼と夜の長さが同じとなる瞬間であり、昔より自然のリズムの転換点とられてきました。

二十四節気の基点は立春であり、そこから太陽の黄道上の位置を15度ずつ、1年を24等分しております。

それに対して西洋占星術では、春分を起点に30度ずつ、1年を12等分しています。

春分は、立春以降グラデーションで弱まってきた冬が完全に終わって春本番に至り、生命が再び活動的となる準備が整ったタイミングです。

これは農耕社会においても重要な意味を持ち、季節への移行の節目として広く認識されています。

二十四節気の春分について、西洋占星術の視点から考えてみましょう。

西洋占星術における春分とは

西洋占星術では、春分は基点として扱われ、トロピカル方式で黄経0度=牡羊座0度に位置に太陽が張った瞬間です。

つまり、前年の春分から太陽がホロスコープの円を360度ぐるっと一回りし終わったタイミングとも言えます。

これにより、春からグラデーションで弱まってきた冬が完全に終わり春本番に至ると共に、内面の抑制が解かれ、外向きのチャレンジ精神や自己主張が主張されます。

星々から地球へ届くエネルギーが新たなサイクルへと促し、物事の始まりを象徴する特別なタイミングです。

太陽が告げる新たなサイクルは、活動的なエネルギーを自然界も人間社会にも解放します。

また、

春分の瞬間のホロスコープ(春分図)は、その年のエネルギー傾向を示す重要なチャートとなります。

マンディーン占星術(マンデン占星術)では春分図を分析し、1年間の社会的なトレンドやテーマ、世相の動向や出生率、気候や農作物の状況についての予測をみることができます。

春の活動宮:牡羊座0度からの考察

ひとつ前の柔軟宮である魚座の時期には、冬の終わりとして寒暖の変化を受け入れながら、次のステージへ向けた準備が整えられてきました。

そして牡羊座では新しいエネルギーに完全に切り替わり、新たなサイクルが本格的に始動するとともに躍動的なエネルギーが地上世界を包み込みます。

春分は太陽が牡羊座0度に入る瞬間であり、西洋占星術における新年とも考えられます。

春分周辺の活動・不動・柔軟および二十四節気は以下の流れです。

柔軟宮(ミュータブル)
雨水:魚座0度

啓蟄:魚座15度

活動宮(カーディナル)
春分:牡羊座0度(360度)

清明:牡羊座15度

不動宮(固定・フィクスド)
穀雨:牡牛座0度

立夏:牡牛座15度

牡羊座は活動宮(カーディナル)に属し、新しい物事を開始する力を持つサインです。エレメントは火に属し、能動性と情熱を象徴します。

牡羊座シーズンは支配星としての火星の影響により、勇気や行動力が高まり、決断力が求められる場面も増えるでしょう。

そして、この時期に社会面は新年度を迎えるところが多く、新しい目標へ向けてスタートを切ったり、新しいプロフェクトが生まれる感覚を感じさせます。

牡羊座0度は、ゼロから物事を始める初期の状態であり、これまでの準備や調整が、現実に具現化される瞬間の純粋なエネルギーとも言えます。

牡羊座0度(黄経0度)の地点は、占星術において「ゼロポイント」とも呼ばれ、可能性を秘めた特別な場所です。

ここは、まだ何の形も持たない、しかし無限のエネルギーを抱えた地点であり、新たなサイクルの起点として機能します。

魚座では混沌の眠りの中まどろみと覚醒が交互に訪れるかような、三寒四温と言われる変化の気候と、

虫が地上へ這いだそうとするような、目立たない部分から少しずつ春の訪れは進み、春本番へと向かっていきますが、

太陽が牡羊座に入る春分には、そうした季節の移行が完了し、地上での新しい冒険への扉が開かれるかのようです。

牡羊座の支配星火星と数秘「9」

春分は牡羊座0度に太陽が入る瞬間であり、前年度の春分から360度の地点です。

黄経0度=360度という地点は、数秘術において「9」の数と対応しています。数秘9は、完結と新たな始まりを意味し、過去の経験を総括した上で新しいサイクルへ向かうエネルギーを持ちます。

数秘術の「9」の数は火星と関連付けられるため、サイン牡羊の活動宮としての動きが能動的な変化として外側に発揮され、力強い挑戦や新たな始まりを象徴する力となります。

火星は蠍座のサブルーラーですが、古典占星術においては火星でも主支配星です。牡羊が陽の火星であるのに対し、蠍では陰の火星となります。

火星はエネルギーを象徴する天体であり、12星座の最初である牡羊座においては原初的なエネルギーが外側に向くため、

春分は新しいサイクルへの挑戦と自己実現のための行動が促進される時期となり、人や動植物の内面に秘めた力が積極的に開放されます。

このことから、春分から始まる牡羊座シーズンは、単なるスタートというよりも、ホロスコープの前周を踏まえた再出発「過去を活かした挑戦」を示唆しています。

新たなサイクルへ向けた意欲を高め、行動を起こす絶好のスタートにしていきましょう。

金星がデトリメントということ

牡羊座では、金星がデトリメント(障害の品位)に位置します。金星は愛や美、楽しさや調和を司る天体ですが、牡羊座のエネルギーとは相反する性質を持っています。

金星は受容的で満たされる受け身の天体であり、火星の挑戦的で能動的なエネルギーとは対照的なのですね。

牡羊座は火星の影響を受けるため、能動的で前向きな行動を促します。一方、金星の持つ「受動性」や「調和」は、牡羊座のエネルギーとは調和しにくいため、このサインにおいては金星の魅力が十分に発揮されにくいのです。

しかし、

否定的な側面だけではなく、金星のご褒美ともいえる「調和」は、まず火星による積極的な挑戦を経た後にこそ得られ安心できるものである、という見方もできます。

このことから、サイン牡羊は「まず挑戦し、行動を起こすこと」が重要であり、調和や楽しさはその後についてくることを示唆しています。

自然界の動物たちも獲物を狩る行動があるから食事ができ、植物も成長したあとに花が咲き実を付けます。

実際の行動を優先することで、この時期のエネルギーを有効に活用できるでしょう。

”宇宙元旦”と言われる所以と春のお彼岸

春分の日を「宇宙元旦」と表現することがありますが、それは西洋占星術の専門用語ではありません。

“太陽が黄道12星座を一周し新たなサイクルを迎えることは、西洋占星術における新年といえますね” って意味だと思われます。なるほどなって思いますね。

ですので、お正月のように神社を参拝したり、二十四節気の新年である立春の前日の節分の豆まきのような、新年を祝うイベントは宇宙元旦には本来ありません。

しかし、昼と夜の長さが同じになる春分・秋分は、お彼岸の中日です。

ホロスコープチャートの平面で考えると気付きにくいですが、この日は太陽が真東から昇り真西へ沈むので、アセンダントが真東でディセンダントが真西です。

  • 東が此岸(この世・東・アセンダント)
  • 西が彼岸(あの世・西・ディセンダント)

この日、真東と真西を結ぶように太陽が運行することから、あの世とこの世の距離が近くなると考えられ、ご先祖様へ思いが通じやすいとされます。

目新しさは全くありませんが、お墓参りなどの先祖供養は、定番の開運行動となりますね。

春分の日に行けずとも、前後3日を合わせ7日間がお彼岸の期間です。お墓参りに行けない場合は心の中での感謝や祈りでも良いのではと、個人的には思います。

春分(太陽牡羊座入り)頃の伝統や習わし

太陽が黄経0度(牡羊座0度)にある春分のころは、世界的に「新たな始まり」として重要視される時期です。

ノウルーズ(イラン・中央アジア)

ノウルーズ(Nowruz)は、ペルシャ語で「新しい日」という意味の、春を祝う農業の祝日です。 ペルシャは現在のイランです。

ノウルーズは、7000年以上前に作られた農業の暦の元旦にあたり、イランをはじめとした中東やアジア諸国、バルカン半島などでも広く祝われます。

ゾロアスター教の聖典(BC9~6)にも記載されている古い祝祭であり、多くの国の宗教や文化に影響を与えています。

参考:ノウルーズーWikipedia

オスタラ(ゲルマン神話)

オスタラ(Ostara)は、キリスト教化される以前のゲルマン人の神話に登場する、春の女神です。

真東(east)から太陽が昇る春分にちなんで、復活祭(easter)の語源になっています。

厳しい冬を乗り越え生命の再生を祝い、新たな実りや豊穣を願うのが、オスタラの祝祭日です。

メキシコ・マヤ文明の春分祭

ユカタン半島のマヤ遺跡「チチェン・イッツァ」では、春分と秋分に太陽の光がピラミッドの階段に当たり、蛇の身体のような影が現れ「ククルカン」が降臨するように見えます。

これは太陽の動きを精密に計算したマヤ文明の高度な天文学の証拠とされ、昼と夜の長さが同じになる春分秋分には多くの観光客が訪れます。

参考:チェチェン・イツァーWikipedia

キリスト教の復活祭(イースター)

キリスト教の復活祭(イースター)は、春分の後の最初の満月の次の日曜日に祝われます。

イエス・キリストの復活を記念する祝祭ですが、その語源はゲルマン神話の春の女神オスタラであることから、キリスト教化前の時代の春の祝典と融合したと考えられています。

参考:復活祭ーWikipedia

春分の日・春のお彼岸

日本では春分の日は「自然をたたえ、生物をいつくしむ日」とされる国民の祝日です。

仏教では「彼岸の中日」として、前後3日間、合計7日間が春のお彼岸の期間です。

お墓参りや仏壇に手を合わせるなど先祖供養を行う習慣があり、ぼたもち(牡丹餅)を食べる文化があります。

春に食べるぼたもちには、小豆の皮を取り除いたこし餡が使われます。

参考:彼岸ーWikipedia

火星と金星のバランスと開運行動

春分に始まる太陽牡羊座シーズンは、西洋占星術での新しい年の始まりであると同時に、社会活動も新しいサイクルを迎える、スタートダッシュの大切な節目です。

ですので、新しい展開を前向きに迎えるための準備や調整は、体調もふくめて事前に整えておくことが重要です。

春分前にある程度は整えてある前提で、太陽牡羊座入りシーズンは、以下のような行動を意識すると良いでしょう。

  • 目標に向けた積極的な行動
  • 勇気を奮い立たせる
  • 発散系の運動、筋トレ
  • リラックス時間を取り入れる
  • オンとオフのバランスを意識
  • 外に出て自然を感じ感謝する
  • お墓参りや先祖供養

火星が支配する牡羊座では太陽がイグザルテーション(高揚)し、ホット&ドライな性質が強まります。

この場所ではコールド&モイストな金星がデトリメント(障害)となり、ゆったりした受け身で調和的な雰囲気は起こりにくく、頑張りすぎ注意です。

社会で頑張るときと自分を喜ばせるご褒美時間、オンとオフを意識してバランスを取るようにしましょう。

内に秘めたエネルギーを開放する発散系の運動をしたり、外に出て自然を感じるのもおすすめです。

強すぎる火のエネルギーは適切に発散し、不足しがちな金星のエネルギーは意識的に行動して補うようにしましょう。

まとめ

太陽が牡羊座0度(黄道0度)に入る春分は、昼と夜が等しくなる自然の均衡とともに、新たなサイクルの始まりを告げます。

支配星である火星とイグザルテーションの太陽の影響で火のエネルギーが強まり、チャレンジ精神と行動力が解放され、内面からの新たな成長を促すのによい時期です。

また、牡羊座でデトリメントとなる金星は、穏やかな調和や楽しみを享受できるのは積極的な挑戦を経た後であることを示唆すると同時に、エネルギーのバランスが取りにくいという事でもあります。

この時期は、迷いや過去を断ち切り、行動を起こすことが求められます。金星がデトリメントとなることからも、受動的に待つのではなく、自ら動くことが大切です。

オンオフの切り替えを意識しつつ、能動的に行動し、春分のエネルギーを最大限に活かしていきましょう。

ABOUT ME
mugimaru
mugimaru
error: Content is protected !!
記事URLをコピーしました